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2021/01/11

コラム

個人再生を使って、マイホームを失わずに借金問題を解決する方法

1.個人再生

個人再生は「債務整理」手続の中の1つで、裁判所を通じて債務を減額してもらう制度です。再生計画が認められれば借金を大幅に減額することができ、以後原則3年(例外的に5年)で債務を返済していきます。


個人再生では裁判所に書類を提出する必要があるので、手続にそれなりの手間はかかります。しかし、再生計画によって毎月の返済額を見直し、その返済が終われば借金は全てなくなるので、個人再生によって経済的な再建をはかることができます。


個人再生手続は「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類ありますが、基本的に使われるのは小規模個人再生で、自営業やアルバイトの方でも行うことが可能です。


給与所得者等再生は、サラリーマンなど安定的な収入がある人を対象としていますが、実際にはほとんど行われておらず、給与所得者でも大半は小規模個人再生を利用しています。



2.個人再生で減額される借金の額

個人再生手続で借金はおよそ5分の1程度まで圧縮することができますが、実際の減額幅は借金の額によって異なります。債務額に対する弁済額は以下の通りです。


個人再生 最低弁済額一覧
債務額弁済額
100万円未満負債額の全額
100万円以上500万円未満100万円
500万円以上1500万円未満負債額の5分の1
1500万円以上3000万円未満300万円
3000万円以上5000万円未満負債額の10分の1


上記の表によれば、借金が200万円の場合の弁済額は100万円です。借金が500万円ある場合は、100万円まで圧縮することができます。

借金額が大きいほど借金の圧縮幅が大きくなるので、多額の借金を抱えている人にとってはメリットの大きい制度と言えます。


ただし、不動産や車、預貯金などの資産があり、その資産を換価したときの金額が上記の表より大きくなった場合は「資産額=弁済額」となります。

一例を挙げると、借金額が200万円の人が、仮に120万円の価値のある車を保有していた場合、資産価値が上記の表の100万円を上回るため、弁済額は120万円となります。



3.個人再生ができるパターン

個人再生手続をするためには一定の条件があり、以下の4つを満たす必要があります。


・将来的に継続または反復した収入があること

・住宅ローンを除く借金額が5,000万円以内であること(利息制限法の引き直し計算後)

・給与所得者等再生の場合は、過去7年以内にハードシップ免責(再生計画の変更をしても債務が支払えなくなった場合に、一定の要件の下で免責を受けることができる制度)、給与所得者再生の再生計画認可決定、破産手続などを受けていないこと

小規模個人再生は債権者から2分の1以上の反対がないこと

・個人再生を行う上で最も重要なのは再生計画に基づいた返済が行われることなので、収入が継続的かつ反復的にあることが重視されます。少なくとも収入から支出を差し引いたときに、返済に充てるお金が余る状態でなければ手続を行うことは難しいでしょう。無職の人や専業主婦は個人再生を選択することはできません。


個人事業主の場合は、毎月の収入が一定でなくても、3ヶ月に1回再生計画通りの弁済ができる状態であれば「継続的かつ反復的な収入」があるとみなされます。


収入源がアルバイトのみの場合は、雇用期間によって判断が分かれます。相当期間継続している場合には「継続的かつ反復的な収入」とみなされます。しかし、期間限定や単発のバイトだと継続収入とは認められない可能性もあります。


年金収入の場合は、終身の老齢年金については継続的かつ反復的な収入とみなされます。障害年金については、将来的に障害が治ったときに貰えなくなる可能性もあるので、障害の内容や程度によって判断が分かれます。



4.個人再生のメリット・デメリット

個人再生手続にはメリットとデメリットがあります。個人再生を選ぶか否かは以下の特徴を押さえ、自分に合った方法か見極めることが大切です。


(1) 個人再生のメリット

・債務の減額幅が大きい(5分の1など)

・住宅や車を手放さなくてよい

・借金の取り立てや差し押さえがなくなる

個人再生のメリットは何と言っても借金の減額幅が大きいことで、再生計画が認められれば返済は楽になります。また、手続開始後は、貸金業者からの取り立てもなくなり、差し押さえなどの措置が取られることもありません。


さらに、個人再生の場合は条件がそろえば住宅や車などの資産を手放す必要もありません。


(2) 個人再生のデメリット

・ブラックリストに登録される

・借金が全額免除される訳ではない

・個人再生情報が官報に掲載される

個人再生の手続をするとブラックリストに登録されるので、以後5~7年は新たに借り入れをすることができません。また、借金は減っても全て免除される訳ではないので、手続後も借金払いは続くことになります。


また、官報には住所氏名が掲載されます。官報は滅多に目にするものではありませんが、掲載される以上は情報が外部に漏れる可能性が0ではありません。



5.任意整理・自己破産との違い

債務整理は個人再生の他に「任意整理」と「自己破産」があります。いずれの制度を選んでもブラックリストには登録されるので、手続後一定期間は新たに借り入れができなくなる点は同じですが、借金の減額幅や手続には大きな違いがあります。


(1) 任意整理との違い

任意整理は裁判所を通さずに手続できる債務整理制度です。借金額が少ない人に向いている手続で、債権者と直接交渉をして借金額を減らします。


具体的には、将来利息をカットしたり、返済額を現在よりも低い金額にしたりして完済を目指します。債務整理の中では最も多く利用される手続です。


個人再生よりは借金の減額幅は小さいですが、住所氏名が官報に載ることもなければ、裁判所を通す必要もない点はメリットです。


(2) 自己破産との違い

自己破産は借金を全て免除する制度です。その代わりに住宅や車などの資産はほとんど没収されます。財産として手元に残せるのは僅かな現金や生活必需品など、必要最低限な自由財産のみです。


個人再生と同様に官報には住所氏名が掲載されます。また、一定期間は士業や警備員など一部の職業に就くことができません。


個人再生と自己破産との一番の大きな違いは「住宅を手放すか否か」です。個人再生では住宅を手放さずに済むのが最大のメリットで、住宅ローン特則を申請することでマイホームの没収を免れることができます。



6.自宅を手放さずに済む住宅ローン特則とは

住宅ローン特則は「住宅ローン特例」「住宅資金特別条項」と呼ばれ、住宅ローンを抱えた人が借金の返済ができなくなっても、自宅を手放すことなく経済的な再生をできるようにする制度です。


個人再生手続の際に、裁判所に対して住宅ローン特則を申請すれば、以前と変わることなくそこに住み続けることができます。


(1) 住宅ローン特則で住宅を手放さなくても良い理由

マイホームを購入するときに住宅ローンを組むと、大抵は担保として「抵当権」を設定します。抵当権を設定した場合、万が一リストラや給料カットなどでローンの返済ができなくなると、債権者によって抵当権が行使され、住宅を手放さなくてはなりません。


しかし、抵当権が実行されても、自宅の売却金は住宅ローンの返済に優先的に充てられるため、売却金額がローン残高を上回らない限り、その他の債権者は配当を受けることができないのです。


そのため、自宅を手放すかどうかは、住宅ローン会社以外の債権者にはあまり影響がないこともあり、こうした制度を適用することができるのです。


むしろ債務者が生活基盤である住宅を失わないことで、出来るだけ早く経済的な再生をはかり、少しでも借金返済をしていくことは、他の債権者のメリットにもつながります。


(2) 住宅ローン特則が認められる条件

住宅ローン特則が認められるには、以下の条件を全て満たしている場合に限ります。


・分割払いの住宅ローン・リフォームローンであること

・本人所有の住宅であること

・不動産に住宅ローン以外の抵当権がついていないこと

・半分以上が本人居住用の住居であること

・保証会社によるローンの支払いから6ヶ月を経過していないこと

住宅ローン特則は本人の住居を守ることが目的です。したがって、あくまでの対象は住宅ローンで、さらに不動産に住宅ローン以外の事業用資金などの抵当権がついていないことが前提となります。また、本人の居住用でない住居は対象外となるので注意が必要です。



7.まとめ

いかがでしたでしょうか。個人再生についての様々な疑問が解決できたのではないかと思います。


実際に個人再生を利用するべきか、その他の債務整理方法(任意整理・自己破産)を利用すべきかどうかは、一人ひとりの借金状況により異なります。自分がどの債務整理方法を選択すればいいか分からない、債務整理をしても自宅を残したいなどのお悩みがある方は、是非とも広島県広島市にある田中法律事務所にご相談ください。


田中法律事務所は、広島市以外にも、東広島市、呉市、廿日市市、三次市、福山市など、広島県全域よりお問い合わせ・ご相談いただけます。債務整理に詳しい弁護士がご相談者様一人ひとりの状況に合った債務整理方法をご提案し、借金解決まで親身にサポートさせて頂きます。

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