お金に関わるトラブルは、個人間や個人と法人、法人同士でよく起こる問題です。その中でも「お金が返ってこない」、「回収できない」と言ったトラブルは、とても深刻なケースに発展することがあります。ここでは、返してもらうべきお金、支払われるべきお金(いわゆる債権)を返してもらう、払ってもらう(回収)する法的な措置(「債権回収」)について解説します。
①借金を返してもらえない
最もよくあるケースの一つで、貸したお金が返ってこないというものがあります。金銭の貸し借りは、法律的には「金銭消費貸借」と言いますが、支払期日を過ぎても返さない債務者には「支払督促」をすることになります。しかし、「滞納」されてしまい、返済してもらうことが難しくなり、トラブルとなるケースが多くあります。
②示談金の未納
交通事故などで示談をした際に、その金額が支払われず、未納のままとなりトラブルになるケースがあります。
③養育費の未納
離婚をした際に、子供の養育費を負担すると取り決めたとしても、その約束が守られず、支払われないと言ったケースもあります。
④家賃の未払い
アパートやマンションなど賃貸物件の未払い・滞納も、よくある金銭トラブルの一つです。
⑤請負代金の未回収
売掛金の支払い遅延など、企業間取引でよくあるトラブルです。企業の連鎖倒産を招きかねない深刻な場合もあります。
債権回収において、つまり、返ってこない借金などに対しては、その借金の額だけでなく、遅延したことに対し、遅延損害金を請求することが可能です。民法の金銭債務の特則として認められています。
民法上の遅延損害金は、法定利率の5%ですが、別途契約書で定めている利率により、遅延損害金の額を決定し、請求することこともできます。
なお、ここで、債務者にも色々な事情があるでしょうが、金銭の債務については、債務者は「不可抗力を持って抗弁とすることができない」と定められており(民法419条3項)、遅延損害金については、言い訳をして言い逃れをすることが出来ず、どのような状況でも支払いを遅らせてはならないとされています。つまり、お金を借りたらその遅延損害金も含めて言い訳せずに返済せよとされています。ですから、債権者側としては、その権利を行使することは間違っておらず、返済がなかったり滞納が続いたりするようであれば、早急に債権回収を行う権利を有しています。
しかし、債権回収は簡単ではありません。仮に「金銭消費貸借契約書」や「借用書」、「請負契約書」を取り交わしていても、直ぐに強制的に回収したり、強制執行したりすることは出来ないのです。裁判の判決を持って強制的に回収しなければ出来ません。
ですから、債権回収は弁護士に早期に相談し、債務者が支払い能力を持っている間に、確実に債権を回収する必要があります。
弁護士に債権回収を依頼し、弁護士が受任すると、弁護士は代理人として、内容証明郵便にて債務者に支払いを促す文書を送付します。それでも未払いとなると、弁護士が直接債務者と連絡を取り、督促をします。そして、債務者の状況を確認します。
ここで、債務者側に返済能力がある場合は、調停に持ち込むか、通常訴訟もしくは少額訴訟を持って裁判を起こし、判決の確定を持って強制執行となります。なお、裁判の前に仮差押をして財産を確保しておく(民事保全)ケースもあります。
※ただし、債務者が破産した場合は民事保全が解消されます。
一方、債務者側に返済能力が無い場合は、弁護士が債務者と交渉しながら分割払いをしてもらうか、あるいは資産のある連帯保証人により回収を行うことになり、それでも回収不能となった場合は会計上損金として計上することになります。
いずれにしても、弁護士に依頼することのメリットは、時効による債権の消失を防ぎつつ、迅速に債権を出来るだけ回収するように代理人として法的措置をとることができる点です。ケースによっては回収不能となる場合もありますが、出来るだけ早い段階で弁護士に相談し、債権を確保することが大切になります。
債権回収は、当事務所の弁護士に一度ご相談ください。