離婚原因が相手方の不貞行為である場合、その不貞行為の態様によって、慰謝料が決められます。不貞行為の回数が多いときや期間が長いとき、不貞の相手方との間に子供がいるとき等は、慰謝料が増額される傾向にあります。
(3) DVの場合
夫のDVが離婚の原因である場合は、DVを受けていた期間が長かったり、程度や具体的内容がひどいものであったりするときは慰謝料が増額されます。妻が夫の暴力によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまったような場合も、慰謝料が相場よりも多めに認められるケースがあります。
ただ、そのためには、DVの程度や期間について、妻の側でしっかりと立証する必要があります。もし体に傷が生じた場合はその写真を撮っておくとか、その都度医者にかかっておく(後で診断書がとれるようにする)、また、DVを受けた状況についてメモを残しておく等、証拠を残すことが大事です。
DVの場合、暴力を受けた側が、自分に何らかの非があるのでは、とか、自分が我慢すればいい、と思い込んでしまったり、時おり見せる相手の優しさを信じてしまったりしたために、離婚を決意した時には過去のDVの証拠がない、ということもあるので、DVを受けたときは、離婚するかどうかはさておき、まず専門家に相談することが大切です。
(4) モラハラの場合
モラハラが離婚の原因である場合、DVよりも客観的な証拠が残りにくい傾向にあります。モラハラの場合も、その頻度や期間、程度やそれによる精神疾患の有無等によって慰謝料が決まるため、記録を残すことや、医師の診断を受けること等が大切です。
また、DVと同様、被害を受けた側が、自分が悪いのではと思いがちなので、早い段階で専門家に相談することが大切です。
(5) 悪意の遺棄の場合
悪意の遺棄が離婚原因になる場合、それ自体で慰謝料が増額されることがあまり多くないといえます。ただ、夫が愛人の家に入り浸っていて帰ってこず、生活費も入れないといったように、不貞行為と悪意の遺棄が重なった場合は、慰謝料の額が増額されることが多いでしょう。
(6) 相手方の収入や財産について
相手方に収入や財産がある場合は、一般的に慰謝料の額が高額になる傾向にあります。
しかし、慰謝料を請求される側の収入は、本来、離婚の原因となった行為の評価とは関係がありません。ただ、無い袖は振れぬ、という言葉のとおり、慰謝料請求できる原因があっても、相手に収入や財産がなければ、絵に描いた餅になってしまいます。これに対し、相手方に支払能力がある場合は、比較的高額の慰謝料になりやすい、という側面があるのも事実です。
4.離婚後に慰謝料を請求できるか
(1) 離婚成立後でも慰謝料は請求可能
相手が離婚自体には合意しているものの、慰謝料の額や支払方法等で合意ができないために離婚がなかなか成立しない、という場合も少なくありません。しかし、慰謝料は、離婚が成立した後でも請求することができます。
正式に離婚が成立しないと、新しい生活を踏み出せないというときは、離婚だけ先に成立させて、後から慰謝料について協議をしたり、金銭に関する問題のみ弁護士に依頼して、裁判で請求したりすることも可能です。ただ、慰謝料の請求をしないことを条件に離婚したときは、慰謝料請求権を放棄したものとして、後から請求できなくなることがあるので注意が必要です。
(2) 慰謝料請求権には消滅時効がある
慰謝料の請求は、離婚が成立した後でも可能ですが、原則として、慰謝料請求権は、離婚成立から3年で時効によって消滅してしまいますので、この点にも注意が必要です。
5.離婚を少しでも考えたときには専門家に相談を
離婚に伴って慰謝料を請求する場合は、話し合いで相手方が合意してくれればよいのですが、そうでないときは、裁判において、離婚の原因が相手方にあること、そして、その程度や具体的態様等について、慰謝料を請求する側が証明する必要があります。
そのためにどんな証拠を残すことが有効かは、一般の方には判断が難しいと思います。ですから、少しでも離婚を考えたときは、なるべく早い段階で、法律や裁判のプロである弁護士に相談されるとよいでしょう。
6.離婚問題の解決は田中法律事務所まで
離婚時には、お金に絡む問題で苦慮される方が多いのが実情です。しかし、十分な立証ができないことで適切な慰謝料などが得られない場合もあります。ですから、弁護士にご相談いただき、適切な対応をとっていく必要があります。
広島県広島市の田中法律事務所は、様々な法的解決を提供しておりますが、離婚問題についても対応しています。
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